台湾の春を彩る「児童節」と「清明節」──家族と心をつなぐ日

YUAN STAFF 著2025年4月02日

┃台湾の春を彩る2つの祝日ー児童節と清明節

春の訪れとともに、台湾では“家族と心をつなぐ”ふたつの大切な祝日がやってきます。4月4日の「児童節」と4月5日の「清明節」。子どもたちの笑顔を祝う日と、祖先に感謝を捧げる日が続くこの季節は、台湾の人々にとって特別な意味を持つ“春の節目”です。家族で過ごす時間が自然と増えるこの時期、世代を超えた絆を感じられるあたたかな習慣が今も受け継がれています。

台湾の四大祝日とは？

台湾では、年間を通じて国をあげて祝われる「四大祝日」があります。

春節（旧正月）
　日本のお正月にあたる旧暦の新年。家族が集まり、爆竹やお年玉など賑やかに祝います。
端午節（端午の節句）
　粽（ちまき）を食べたり、ドラゴンボートレースを楽しんだりする、夏の伝統行事。
中秋節（十五夜）
　月餅を食べながら美しい満月を眺め、月の女神に感謝する秋の風物詩。
児童節＋清明節
　春に訪れるこの2つの祝日も、合わせて四大祝日の一つとして数えられています。

┃子どもたちのための祝日「児童節」

台湾の「児童節（子どもの日）」は、子どもたちの健康と幸福、そしてその成長を社会全体で祝うための日として、毎年4月4日に定められています。この日には家族でレジャーに出かけたり、学校では先生からの小さなプレゼントや特別行事が用意されたりと、子どもたちにとって“ちょっと特別な日”でもあります。

この記念日は1931年に制定され、当初から教育機関や地域社会を中心に、子どもたちへの感謝や未来への願いを込めた様々な活動が行われてきました。長らく記念日扱いだった児童節は、1991年に「婦女節（3月8日）」と統合され、「婦女節・児童節合併假期」として正式な祝日となります。これにより、親子で共に過ごす特別な日として認識されるようになりました。

しかし、1998年に隔週週休二日制が導入されると、政府による祝日見直しの一環として、児童節は一度祝日から除外されてしまいます。それでも、子どもたちの存在を祝う文化的価値は色褪せず、各地の学校や家庭では行事やイベントが続けられていました。

そして、国民の声や子育て支援の流れを受け、2011年に再び祝日として復活。現在では、台湾全土で学校や公的機関が休みとなり、家族で過ごす時間を大切にする日として定着しています。教育の場では、特別授業や感謝イベントが行われ、地域社会でも子どもたちへの贈り物や活動が数多く見られます。

児童節は単なる祝日ではなく、“未来を担う存在”への愛とエールをかたちにする日。家族が時間を共有し、子どもたちが「大切にされている」と感じられる体験は、きっと心の奥に長く残る記憶となるはずです。