二十四節気「立秋（りっしゅう）」2025

JUN KOJIMA 著2025年8月07日

┃立秋 – 夏の余韻に、秋の香を抽き出す

夏はまだ舞台を去らず、淡い菊を煎じて
ゆっくりと秋の味わいを湧き立たせる。

風を含む陽射しはなお熱いが、葉影は静けさを帯び始める。
歩調を緩め、心身に季節替わりの余白を残そう。

1.初秋、肺を潤す

立秋とはいえ暑さは残る。水分を十分に取り、レンコン・梨・山芋など食物繊維豊かな旬の食材で乾燥対策を。

2.熱を鎮め、心を整える

節気の変わり目は気持ちが乱れがち。ヨモギ・菊花・ユーカリを配合したバス＆ボディケアで穏やかに汚れを落とし、心も落ち着かせる。

3.静心のひととき

秋は静けさが似合う。午後に菊花茶や青草茶を淹れ、香りをゆっくり開かせながら内なるリズムを整えよう。

立秋は通過点であり、秋の予兆でもある。
菊の香と草本の清雅が、あなたを秋への第一歩へ導く。

※上記は台湾の風土がベースの文章です。

┃日本の風土に寄り添う、立秋の過ごし方

立秋（りっしゅう）は、二十四節気のひとつで、今年は8月7日に訪れます。暦の上ではここから秋の始まりとされていますが、日本の夏はなお盛りで、35℃を超える猛暑日が続くことも珍しくありません。それでも朝夕の空気にわずかな変化が訪れ、蝉の声に混じって秋の虫の音が聞こえ始める頃、季節の移ろいを、心で感じる節目です。

日本の夏を心地よく過ごすには、無理に冷やすのではなく、体にこもった熱をやさしく逃がす工夫が大切です。帰宅後のぬるめのシャワーや、首筋や足首を冷やす濡れタオルは、体温を急激に下げずに熱を抜く効果的な方法です。また、夏野菜や果物から自然の水分とミネラルを取り入れ、冷たい飲み物に偏らないよう意識すると、体調を崩しにくくなります。

┃豆知識：立秋と「涼」を呼ぶお茶

立秋の頃、中国や台湾では「涼」を意識した食文化が根付いています。大暑でも案内しましたが、たとえば、愛玉（オーギョーチ）や仙草（シェンツァオ）は、ゼリー状の冷菓として親しまれ、暑さで火照った体をやさしく冷ます夏の定番です。日本でも、冷やし甘茶や麦茶、ハーブティーなどを取り入れることで、体の内側からの涼やかさを感じることができます。五感で涼を楽しむ。これが、立秋の夏をしなやかに過ごす知恵です。