二十四節気「寒露（かんろ）」2025

JUN KOJIMA 著2025年10月08日

┃寒露 – 秋の深まりに、静けさをまとう

時は深まり、秋気は涼へと傾く。
静かな天地には、ひとしずくの安らぎが増えていく。

自然の歩みに合わせて、
楓がそっと紅へと移るように、
青草のやわらぎを日々へと溶かし、
冷えゆく季節に、心身の拠り所を見つけよう。

【今日の節気｜日常の小さなヒント】

1.衣を添えて温かく

昼夜の寒暖差が大きい時季。首・肩・足首など冷えやすいところを意識して重ね着を。外出は薄手の羽織で体温調整、就寝前はぬるめの入浴で冷え戻りを防ぐ。

2.潤いで肌を守る

乾燥が進む頃。洗浄はやさしく短めに、拭くときはこすらず押さえるだけ。洗顔後の湿った肌に月桃ダブルエッセンスを少量なじませ、化粧水と重ねて水分・油分を閉じ込める。

3.静けさで心を養う

夜が長くなる季節は、歩みもゆるやかに。寝る前の数分、明かりを落として深呼吸し、花草茶を一杯。短い静けさが、翌日の回復を助けてくれる。

寒露、それは、秋の深まりの静けさ。
冬の入口にたたずむ、いちばんやさしい小休止。

※上記は台湾の風土がベースの文章です。

┃秋の夜長と、しっとり肌を保つ工夫

寒露（かんろ）は、二十四節気の一つで、秋分と霜降のあいだにあたる時季。今年は10月8日に訪れ、草木に冷たい露が宿り、秋の涼気がいっそう深まる頃を指します。日中にはまだやわらかな陽射しが感じられるものの、朝夕は空気が澄み、ぐっと冷え込みが強くなります。夜空の月はひときわ冴え、静けさの中で秋の輪郭がはっきりと浮かび上がる、そんな美しい季節です。

一方で、肌にとっては“乾きの入口”ともいえる時期。空気の乾燥がじわじわ進み、肌のつっぱりや、くすみ・ごわつきを感じやすくなります。また、朝晩の冷えは血行を滞らせ、肌のターンオーバーリズムにも影響が出ることも。だからこそ、秋の夜長は「温め」と「潤い」を軸にしたケアが心強い味方になります。

まずは、体を冷やさないこと。就寝前にぬるめのお湯で手足を温めたり、軽いストレッチで呼吸を深めると、血流が促され、眠りの質も自然と整っていきます。入浴は短めでも構いませんが、湯上がりのケアこそ丁寧に。タオルで“押し拭き”するようにやさしく水分を残し、すぐに保湿を重ねるのがポイントです。

スキンケアは、“落としすぎない洗浄”と“重ねる潤い”を意識して。摩擦を抑えたやさしい洗い心地で肌のうるおいを守りながら、化粧水を複数回に分けて重ねづけし、油分でふたをするように閉じ込めます。顔だけでなく、首・デコルテ・手元も乾燥が出やすいパーツ。保湿ミストやクリームをデスクやベッドサイドに置いて、“乾く前に足す”を習慣にしてみましょう。

そして、暮らしの中の“潤い”も味方に。寝具の素材を見直して温もりを逃さず、部屋の湿度を40～60％に整える、ハーブティーや白湯をゆっくり味わう。そんな小さな積み重ねが、翌朝の肌と気持ちに確かな違いをもたらします。寒露の夜は、静けさの中にこそ豊かさが宿るとき。丁寧な呼吸とあたたかなケアで、肌にやさしい秋の夜長をお過ごしください。

┃豆知識：月を愛でる季節の風習

寒露の頃は、月が最も美しい季節とも言われています。日本では古くから、澄んだ空気の中で月を眺める「観月（かんげつ）」の風習がありました。秋の夜長、窓辺や縁側に座って温かいお茶を片手に月を愛でる時間は、心を穏やかにしてくれるだけでなく、一日の疲れを癒す静かなひとときとなります。
また、この時季は秋の味覚も充実。柿や梨、栗など水分や栄養が豊富な果物は、体の乾きをやわらげるだけでなく、肌の潤いにも役立ちます。