二十四節気「秋分（しゅうぶん）」2025

JUN KOJIMA 著2025年9月23日

┃秋分 – 昼夜の調和に、心も澄みわたる

昼と夜が等しく分かれ、光と影もまた半分ずつ。
天地に、もっとも穏やかなバランスが訪れる。

夏の気配は次第に遠ざかり、空気は澄んで清らかに。
緑豆のやさしい香りがほのかに漂い、
心を解きほぐす清涼感をもたらす。

【今日の節気｜暮らしのメモ】

1.爽やかな調え

秋分の頃は暑さが和らぐ一方で、まだ余熱も残る。
青草の清らかな香りで心身を整え、
重だるさを洗い流し、すっきり軽やかに。

2.心を鎮める

秋の夜は長く、月明かりは静かにやさしい。
夜には少しの静寂を残して、
深呼吸とともに思いを沈め、天地と共に清らかさを分かち合う。

3.草本の潤い守り

乾燥の兆しが増し、肌はつい緊張しがちに。
潤いと保水力のあるケアを重ね、
移ろう季節の中でも、肌をやさしく守る。

秋分。昼夜の調和に、心もまた静かに整っていく。

※上記は台湾の風土がベースの文章です。

┃昼と夜が分かち合う、日本の秋分

四季の中で「均衡」を象徴する節気、それが秋分です。
例年9月22日頃（今年は23日）に訪れ、昼と夜の長さがほぼ等しくなる特別な一日。実はこの日は、一年の太陽の動きを基準とした「二至二分（にしにぶん）」のひとつに数えられます。春分・秋分、そして夏至・冬至をあわせた四つの節目の総称で、古来より暦の基準とされ、人々の暮らしや祭事のリズムを形づくってきました。

日本では秋分を境に、日差しは和らぎ、空気は澄んで涼やかに。虫の音や夕暮れの彩りが秋の深まりを告げます。一方で、寒暖差が大きくなるため体調を崩しやすい季節でもあり、朝夕には羽織りを一枚持つなどして体を冷やさない工夫が欠かせません。

また、この時期は「お彼岸」にあたり、祖先を偲んで墓参りをし、「おはぎ」を供える風習が今も続いています。自然と人、そして過去と未来をつなぐ日として、秋分は日本の暮らしに深く根づいてきました。

┃豆知識：秋分と「彼岸花」

秋分の頃、日本各地で真紅の彼岸花が咲き誇ります。その鮮烈な色は「魔除け」の象徴とされ、田畑の畔やお墓の周りに多く植えられてきました。実はこの彼岸花、毒を持つ植物でもありますが、それゆえに田畑を荒らすモグラやネズミを避けるための知恵としても役立てられてきたのです。秋分に彼岸花を見ると、「自然と人の暮らしの知恵が重なり合っている」と気づかされますね。