二十四節気「立夏（りっか）」2025

JUN KOJIMA 著2025年5月05日

┃湿を祓い、心身を軽やかに

細やかな雨が葉先に落ち、
しなだれる緑の葉に笑顔が隠れる。

水たまりを長靴で踏みしめれば、
笑い声は霧のなかにそっととけていく。

1. 流れに寄り添う養生

小満は、湿気と暑さが混じる梅雨のはじまり。長く寝すぎたり、汗をかきすぎると湿気が体に残り、だるさにつながることも。自然の光に合わせて、安定した睡眠をとることで体のリズムを整えましょう。

2. 脾を整えて湿気を追い出す

この時期は、脾※と胃の働きを助けて湿気を排出することが大切。四神湯や山芋のおかゆ、温かくやさしい流動食がおすすめです。足湯や足もみなどで血流を促し、重だるさを和らげましょう。

※脾（ひ）…中国伝統医学（中医学）における五臓のひとつで、主に「消化・吸収・栄養の運搬・気血の生成」を司るもの。現代医学の「脾臓（ひぞう）」とは異なり、より広い意味を持つ概念。

3. 空間をすっきり

小満は住まいの空気も整えるタイミング。寝具を替えたり、除湿器を使ったり、好きな香りを焚くのもよいですね。爽やかに整った空間は、心の静けさと透明感を呼び込みます。

小満、それは節気の中でもっともやわらかなひととき。
大地のように、静かに養分をたくわえていきましょう。

※上記は台湾の風土がベースの文章です。

┃小満とは？

夏の気配がそっと忍び寄る頃、私たちは「立夏（りっか）」という季節の節目を迎えます。二十四節気のひとつである立夏は、太陽黄経が45度に達する日で、2024年は5月5日にあたります。暦のうえではこの日から夏が始まり、自然界は次第に緑を濃くし、空には夏の雲が浮かび始めます。

日本ではこの時期、田植えや夏野菜の準備が進み、農作業が本格化する季節でもあります。昼の時間が伸び、風にもほんのりと夏の気配が混じり始め、体も心も徐々に夏モードへと移り変わっていきます。

┃立夏に卵を立てると、無病息災？

立夏には「卵を立てると、その一年は健康に過ごせる」という中華圏由来の風習があります。この不思議な言い伝えは、「立夏の日は地球の引力や磁力が卵を立てやすくする」とも言われ、家族で楽しむ季節の行事としても親しまれています。実際は年中立てることはできるのですが、こうしたちょっとした遊びを通じて、季節の節目を感じるのも立夏の楽しみのひとつです。